にこちゃん堂の一階はテーブル席
全部昔の足踏みミシンを使って作っています
鋳型の味わいがある古いミシンとの出会いの
お話です(実話!)
床や壁を作る際に
大工が同じ木を使い同じ色の天板を作ってくれました
それを足踏みミシンの脚にネジで止めるだけ
テーブルはこうして簡単に作れますが
足踏みミシンを6個集めなければなりません
アンティークなミシンといえば
シンガーミシン
朝の連続ドラマにも出ていましたね
下の部分が網目のようになっているバージョンがあるのです
このデザインは人気らしくイギリスではほんとによく見かけました
これはイギリスにいた時
私が一番好きであこがれたティーハウスです
テーブルが全部この網目のミシンの脚で作られています
これが忘れられず
にこちゃん堂も真似したかったのですが、網目のものはひとつも手に入らなかったのです
今はオークションやメルカリでもたくさん出ていますが、、
まっすぐな脚のものが2つ
網目ではないけどデザインされたものが3つ
これでとにかく
テーブル全てミシンにすることはでき、、
店はオープンしました
ミシンのテーブルはなかなか評判が良く
年配のご婦人は特に懐かしがって
「うちにあったのとおんなじ」
というセリフがよく飛び交いました
そう、当時は2階もテラスもこたつの部屋も屋根裏スタジオもまだ無く
一階とロフトのみの店でした
オープンして1ヶ月くらいの時
ランチ終わりかけに来てくださったご婦人Oさんも
「うちにあったのとおんなじ」
っておっしゃったのですが
続きがありました
「脚はね、網目模様になっていてね、、」
えっ!
「実は今日引っ越しでね
さっき、そのミシンを捨てたところなの」
えっ!
私はサッと例のティーハウスの写真を取り出し見せました
「これこれ!これとおんなじ
網目になっているの
今日ゴミの方に引き取りにきてもらって
疲れたから
にこちゃん堂にお昼食べに来たんよ」
なんと!
「一条高校の向こうのゴミ処理場、
さっき電話で頼んだとこ」
「ここにかけてん」
ポケットからメモを出して私にくださいました
すぐに電話してお願いし車で取りに行きました
そうして脚だけでなく
模様が見事なソーイングマシーン部分も!
手に入れることができたのです
「あのミシンはお母さんの思い出のミシンだったので
捨てたくなくてずうっと持っていたんよ
とうとう諦めて捨てたんだけど
ミシンは捨てられたくなくって私を
にこちゃん堂に連れてきたんやね
ここにやってくる運命だったんだねーー
毎日こうやって皆さんに見てもらえるなんて嬉しい」
旦那様や息子さんと共に
生まれ変わってテーブルになったミシンを見にいらして
Oさんはそう言ってくださいました
ふたりして感動して泣きました
それからもう15年以上経ちます
Oさんは今もお元気なお顔を見せてくださいます
私のことを娘のようになんでも話してくださるし
お店のこといつも気にかけてくださいます
お茶しにいらしてもいろんなお話をして
もうミシンの話はしてませんよ笑
今こうしてこのミシンの話を書いていて
びっくりしたことがあります
もう一度、あの
にこちゃん堂オープンする前に行ったロンドン郊外のティーハウスの写真を
ご覧ください
5年前に改装したテラス
全く意識していませんでしたが
この雰囲気
そっくりではありませんか?
ミシンのテーブルはないけれど
ピンクの花
幸福の木らしい観葉植物もおんなじ
テラスは
大工の腕を上げてきた私がコツコツ1人で作った部分が一番多い箇所です
ずっと憧れて写真を見つめていたから
いつしか意識しなくても近づいていたのか、、、
小さい憧れにひとつひとつ近づいていったら
いつか思っていたより広い世界に飛び込めるかもしれない
ーテラスでくつろぐお客様の後ろ姿が大好きです
ミシンの脚から始まる
オープン前から変わらない店の目指すもののお話でした
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